No.2
『菜っ葉の漬け込み』
(2009年11月30日)

オールドイエローの客室の前に野菜畑がある。

むかーし、住んでいた中近東やアフリカの国々では、野菜の種類が少なくて、
日本から持っていった種で野菜を作っていた。
日本にいるときは野菜なんて特別好きってわけじゃなかったけど、
食べられないと無性に食べたくなるのが不思議。
ほうれん草のおひたしとか、ごぼうのキンピラとか、皮も食べられるキュウリとか、種だらけでないナスとか。

初めは、小松菜も育てられなくて・・・・・・・(ーー;)
『凝り性+暇』だったので、とことん研究し、結構上手に野菜が作れるように。
桃太郎トマトなんかも種から育て、乾燥した気候のため、路地でも恐ろしく出来がよく。
大きな実がそりゃあゴロゴロ採れました。(日本じゃ無理よ、梅雨があるから)

日本に帰ってからも家庭菜園を続け、ペンションをしてからも・・・・
ペンションをしてからは、仕事が忙しくて手間暇かける時間も体力も気力もなし。
でもお客様が喜んでくれるので、怠けたいという心に鞭を打ちながら、何とかやめずに細々と続けている。
自分で作れば、安全だし美味しいし、その上たーっぷり野菜が使えるし。
キッシュに入れるほうれん草も、冬に作って、1年分冷凍保存。
ジェノベーゼソースも夏にまとめて大量に。
若いキュウリでピクルス。
唐辛子で辛味噌。
大量に採れるピーマンは肉詰めにして冷凍。
インゲンは、生のまま冷凍(そのまま天ぷらにすると超うまい)
余ったナスは塩ナスに。
そして、
年の最後の農作業がこれ。
晩成アブラナの漬け込み。



9月に種を撒いた晩成アブラナは11月にはすっかり大きくなり、これを洗って、物干しにずらっと干す。
晩成アブラナって、野沢菜と同じような種類だそう。
炒めたり茹でたり、何して食べても非常にこくのあるうまい野菜だ。

4、5日干して水分が抜け、しんなりしたら、漬物のたるに、塩と唐辛子と昆布とで漬け込む。
重ーい重石をしっかりして、常に水があるようにして春まで。
長い冬の間にゆっくりと乳酸発酵を起こして、大変風味が良い菜っ葉の塩漬けが出来る。
春、温かくなってきた頃、汁気を絞って小分けにして、冷凍。
食べる時は、水にさらして塩抜きし、細かく切ってごま油で炒めて、水を加えてよーく煮込んでみりんや醤油で味付け。
そうすると、本当に美味しい菜っ葉の煮物になる。
家庭で食べる時は、こんにゃくやアブラゲやしいたけや竹輪なんか入れて煮てもすごくうまい。
乳酸発酵した菜っ葉は、『時間』の味がする。
この味は、どんな調味料を使っても絶対に出せない味だと思う。

これをメインの付け合せに、マッシュポテトの横に添えたりして出す。
同じような菜っ葉の食べ方をする地方があるようで、時々お客さんに「懐かしい〜」って言われる。


ただ、残念なことに、この乳酸発酵した野菜の味が分らない人が増えてきたように思う。
忙しすぎて、こんな菜っ葉の漬物なんて、だれも作らなくなってきたのだろう。
自分で作る以外に、こんなべっこう色に漬け上がった菜っ葉なんてあんまりお目にかかれないし・・・。
失われつつある食べ物に、これもいつかなるのだろうか。

今年は、菜っ葉の収穫、洗って、干す作業を黒ラブのヴィンセントちゃん一家に手伝ってもらった。
ヴィンセントちゃんはお客様として知り合い、その後那須におうちを建てて越して来てからはお友達になったご一家です。
今年は1月に背骨を骨折するという大けがをして、畑は無理か?と思っていたのだが、
一番大変な夏野菜の植え付け準備も手伝ってもらい、
何とか今年の野菜作りも無事に乗り切ることが出来た。
本当にありがとう。

菜っ葉漬かったら持ってくよ。

    



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